虚数は捏造…科学界を突如襲う崩壊の危機

 科学全体を根幹から揺るがす大事件が起きた。今まで科学者たちが誰も存在を信じて疑わなかった「虚数」が、なんと今から約 400 年前に数学者のグループによって捏造されたものだったのだ。主犯は 16 世紀のイタリアの数学者ラファエル・ボンベリと見られる。

 虚数とは、 2 乗して −1 になる数 i を使って a+bi (a,b は実数で b≠0) と書ける数のことである (a=0 の場合に限る用法もある)。虚数が捏造であったことにより、虚数の存在を前提に構築されてきた今日の数学体系全体を震撼させている。

 虚数の捏造が明らかになった影響は数学の中だけに留まらない。物理の量子力学におけるシュレディンガー方程式の例を出すまでもなく、数学以外の学問分野も数学における虚数の存在に依存してきた。数学以外の研究者たちは口々に、「我々は被害者だ。数学者が虚数をさも実在するかのように喧伝するものだから、我々はありもしない前提の上に理論を構築してしまった。ひょっとしたら、数学者たちは虚数が捏造であることを知っていたのではないか」と、数学界全体が組織ぐるみで捏造の事実を隠蔽してきた可能性をも指摘する。国際数学連合 (事務局: 米プリンストン) はこの件に関して声明を出し、「数学者が虚数が捏造であることを知っていたという事実はない。この新事実は我々にとっても驚きであり、我々もまたボンベリの被害者である」と火消しに奔走している。

 この突然の「崩壊の危機」について、各界の知識人に話を聞いた。

数学者の鵡吏太郎 (むり・だろう) 氏の話
 19 世紀末に起こったラッセルのパラドックスに始まる「数学の危機」によって、我々は強制的に数学の本質を直視させられ、その結果我々は数学体系に強固な基盤を与えることに成功した。前回は完全性定理 1 個と不完全性定理 1 個で解決したが、今回は手強そうなので、各々 2 個ずつくらい示す必要があるのではないか。
ジャーナリストの傑家崙紗 (けっか・ろんじゃ) 氏の話
 今回の事件は学界全体のリスクマネージメントの構造的問題。虚数の存在に依存することによって当然発生するリスクに対して必要な備えを怠った結果であり、起こるべくして起こった事件である。
国会議員の満燃雇 (まんねん・やとう) 氏の話
 与党の失政がこの事件を招いたのは明らか。国民の代弁者として、国会の場で与党の責任を追及し、内閣不信任案を提出する。 Adobe 社の新製品 Acrobat 8 Professional には墨消しツールがあるので、黒塗りメールを作るのも簡単。
言語学者の日家螺樫 (ひけら・かし) 氏の話
 「虚」という漢字は形声文字で、意符は右下の「业」の部分である。この部分は「丘」の原字であることから明らかなように「丘に挟まれた窪み」の意味を表す。漢字全体としては中身がなくうつろであるさまを表すので、虚数が実在しないことは漢字の意味から考えれば当然。これほど単純なことが 4 世紀間にわたって無視され続けていたことの方が信じられない。ところであなた「虚者」という漢字を読めますか。
世間から虚者の代表のように扱われながらも高校 2 年生になった野比のび太 (読み方不詳) 氏の話
 この前の数学の中間試験では、このウツロスウのせいで 0 点をとって、今も補習を受けさせられている。同じように不当な試験と補習に苦しんでいる高校生が全国にいるので、文科省には早急な救済措置を求める。

 数学は、そして科学は、この危機を乗り越えることができるのか、予断を許さない。

続報: 実数も捏造か? 虚偽と混迷の渦に叩き込まれる科学者たち

 なんと実数までもが過去の数学者の捏造だったという疑惑が浮上し、科学界に大混乱を引き起こしている。

参考文献

2006 年 12 月 15 日公開、 2007 年 1 月 24 日続報を追加。著者: fcp / このサイトについて