内容と外見の分離におけるグレーゾーン
段落字下げは内容か外見か

要約

 ウェブページを書くときは、内容を HTML 文書に、外見の指定をスタイルシートに書くのが楽です。段落字下げは内容と外見のどちらとも言えるので、どちらに分類してもどうにかなりますが、サイト内では一貫しておいた方が楽です。

背景: ウェブサイトを簡単に作るための「内容と外見の分離」

 ウェブサイトを作るには、まず、文章の内容を表す HTML 文書を作ります。もう少し具体的には、文章を書いて適切にマークアップします。次に、 HTML 文書中の各要素の外見を指示するスタイルシート (CSS) を書きます。これでページ 1 個のできあがりです。ページを追加するときは新しく HTML 文書を作ります。スタイルシートはよほど変わったことをしたいのでない限り今までのものを使えばよいはずです (記述を少し追加しなければならない場合はあります)。スタイルシートは基本的にサイト全体で 1 個でしょう。その後、複数のページの間をスムーズに移動できるよう適切にリンクを付けます。ウェブサイトのできあがり。

 もっとちゃんとした説明はウェブサイト作成入門講座などを読んでほしいと思います。

 ポイントは、内容と外見を分離することです。 HTML は内容を記述するための言語で、外見を記述するのには向いていません。歴史的経緯から、 HTML にも外見を記述する方法が一応ありますが、スタイルシートに対応していないブラウザで同じ外見を実現したいなどの特殊な需要がない限り、今から作るページで使う必要はありません。

本題: 段落字下げは内容と捉えても外見と捉えてもかまわない

 ところが、実際に書いてみると、内容なのか外見なのかわからないものがときどき出てきます。その中でも僕が何度も出会い、出会うたびに頭を抱えていたのは、段落字下げです。

 空白文字として HTML 文書の中に書くのがいいのでしょうか? それとも、スタイルシートに書くべきでしょうか?

 以前は迷っていろいろやってみましたが、結局、どちらでもよい、ただしサイト内では一貫している方が楽という結論に達しました。結局自分が書くのが楽で、多くの環境で問題なく閲覧できて、検索エンジンで検索できれば、僕の目的は達成されます。文書は内容と外見に 100% 分離できるわけではなく、グレーゾーンが残ります。でも内容と外見という形で分けて書く方が楽だから、グレーゾーンもどちらかに分類して書くことになります。そのときどちらを選んでも、大差はないのです。

補足: グレーゾーンがあるということを正当化してみる

 以上で僕の言いたいことは終わりで、段落字下げは外見だと考えて CSS の text-indent プロパティで制御しようと思う人はそれでかまいません。しかし、以前の僕はそんなグレーゾーンがあることを理解しておらず、段落字下げの空白は必ず CSS で書くべきだと思っていました。このページのソースを見てもらえばわかりますが、今僕は字下げの空白を HTML に書いています。だから、以前の僕ならこのページを見て怒り出すでしょう。内容は HTML、外見は CSS に分離するべきと言っておきながら、外見であるはずの段落字下げを HTML で書いているではないかと。

 でも、段落字下げは日本語の文法要素の一つであるとも考えられると思います。文の終わりに句点を書くのと同じように、あるいは疑問文であることを疑問符で表すことがあるように、段落の先頭には 1 文字分の大きさの空白をあけることがあると。そう思えば、段落先頭の空白は疑問符と同程度には内容の一部であって、必ずしもスタイルシートで制御するべき外見と決め付ける必要はないのではないでしょうか。だから、グレーゾーンであり、何が正しいかによってどちらかに決めようとするのはあまり意味がなく、結局何が楽かで選べば良いと思うのです。

2006 年 11 月 9 日公開。著者: fcp / このサイトについて