kera さんの漫画『ぱえりあ』の主人公の一人である橿原実樹の不遇について、人気投票での扱いと母親との対立という二つの面から考えます。
kera さん作『ぱえりあ』は中学生の兄妹の日常を描いた漫画で、サイト「eso aparte」で読めます。中学 3 年生の兄の橿原真樹 (かしはら まき) は頭の回転が速く、いつも直感で動いているのに時々鋭い、すごい人です。中学 1 年生の妹の実樹 (みき) は兄におちょくられたり勝手に空回りしたりして一杯一杯です。
以下には『ぱえりあ』ウェブ版の内容の引用や記述が含まれます。しかも、読んだ人でないとたぶん意味がわからないと思います。
人気投票で 4 回連続で 1 位になりながら、毎回踏んだり蹴ったりの実樹の幸福度を僕の主観で判定します。ついでに、実樹以外の人の印象に残った台詞にツッコミを入れます。
恥らう姿を勝手に全国に生中継される (−25)。でも真樹にかばってもらう (+10)。合計 −15 点。
失敗インタビューの後を任されて、フォローする気ゼロ。
「…えー。かつてこれほどまで後味の悪い受賞インタビューがあったでしょうか」 (4 ページ)
そこは話題を変えないと。
生卵の早割り映像がインターネットで公開される (−20)。翌月の小遣い半減 (真樹も) (−10)。合計 −30 点。
娘よりカネが心配。
真樹「かーさん、みーがなんかもうダメそうだ…」
朋子「それより真樹! 賞金ってどうやって貰うの?」 (14 ページ)
目が真剣なんですけど。
なお、「あーッ! ビデオカメラの電池が切れちゃう!」 (12 ページ) などと言って強引に実樹に芸をさせた人に、真樹の嘘を責める資格はないと思います。
特製鍋敷きをもらい (+5)、朋子から渾身のチョップを食らい (−15)、真樹に兄妹の縁を切られる (−30)。合計 −40 点。
修羅場になる前に退散。
「以上、歓喜に沸く橿原さん宅よりお別れいたします!」 (4 ページ)
こんなにうまく立ち回る子だとは思いませんでした。
というか、「ジャーン」って効果音付きで鍋敷きを出されても。いや、鍋敷きが悪いとは言いませんが。特製だし。でも。
等身大の手作り実樹フィギュアをもらう (+5)。フィギュアに嫉妬 (−10)。フィギュアに激しく嫉妬 (−25)。真樹に仕返し (+15)。真樹に殴られる (−10)。朋子の一方的な暴言にイライラ (−20)。真樹に仕返し (+20)。真樹に仕返し (+25)。恥ずかしい発言を蒸し返される (−15)。等身大の手作り実樹フィギュアを投げ捨てる (−5)。合計 −20 点。
一時期は、ひょっとしてプラスになってしまうのではないかと心配しましたが、順調にマイナスになってくれて、このページに「橿原実樹の災難」という表題をつけた僕としてはほっとしています (おい)。
死屍に鞭打つ天然の恐さ。
「まだいたんだ」 (2 ページ)
「あ、帰るんならさー、この箱持ってってくんない?」 (3 ページ)
名古屋市のごみの分類は面倒です (橿原家がどこにあるか知りませんが、勝手に想像)。
なお、実樹の
「沸かし直すのもったいないでしょ! 入ってきなよッ!」 (8 ページ)
は歴史に残る名言だと思います (言い過ぎ)。
実樹の宿敵の一人である橿原朋子は、なんと実樹の実の母親でした (←いろいろ間違っています)。
朋子が娘の出生届で名前を間違えたところから実樹との確執の芽はあったと考えてよいでしょう。その後も、朋子は勝手気ままな振る舞いで実樹に迷惑をかけ続けますが一向に反省の色を見せません。家事全般が苦手で実樹に押し付けたり、そのくせに料理を作って失敗して「ま、いっか。食べるの子供たちだし」と笑って済ませたり、娘よりカネが心配だったり、自分のせいで娘の賞品が鍋敷きになったのに渾身のチョップだったり、人気投票第 6 回で 11 コマしか出てこないのに次々と兄妹に暴言を吐いたり、あー、書いていたら本当に腹が立ってきた!
そんなまったく母親らしくない朋子ですが、不思議と憎めない人ですね。嫌いではありません。誰ですか、一時の感情に任せて「アンチ朋子」などと kera さんのブログのコメントで書いたのは……。
実樹には、朋子に負けずにたくましく成長してもらいたいものです (でも永遠の 13girl)。
2006 年 12 月 15 日公開、 2006 年 12 月 23 日更新。著者: fcp / このサイトについて