ジャストシステム社の第二回 全国一斉! 日本語テストをやってみました。 79 点という点数は思ったよりも低くて悔しくなりました。敬語の問題を中心に一部の問題に疑問が残るものの、おおむね納得でき、楽しめました。
「第二回 全国一斉! 日本語テスト」の問題・正解・解説の一部が書かれています。
2006 年 1 月 10 日、ジャストシステム社の第二回 全国一斉! 日本語テストをやってみました。 79 点でした。正直に書きますよ? 僕はもっと高い得点が取れると思っていましたよ! 「ふつうです」などと表示されて悲しくなりました。ネタにもなりません。
語彙力が低すぎます。いろいろ間違えるのも道理です。
記録のために問題文を転載したいところですが、さすがに問題文全文を自分のウェブサイトに転載するのは著作権の侵害になりそうな気がするのでやめておきます。第一回の例にならうなら問題文はしばらく公開されていると思われるので、そちらを参照していただくことにして、僕の解答と正解・不正解の別を載せます。
例によって (?) この手のクイズには揚げ足を取ろうと思えばいろいろありますのでお楽しみください。
問題 | 僕の解答 | 正否 | 備考・感想等 |
---|---|---|---|
表記力 | |||
1 | (1) | ○ | |
2 | (2) | ○ | 「箝口令をひく」か「箝口令をしく」か。うろ憶えだったので迷いました。ところで、マイクロソフトの MS-IME 2002 では (ごめんなさい、もうここ 10 年ほど ATOK 使っていないんです) 「かんこうれい」の漢字変換の候補として「緘口令」しか出ず、「かんこう」でも「緘口」は出るのに「箝口」は出ません。理由不明。 MS-IME 2003 では直っているかもしれません。 |
3 | (1) | ○ | |
4 | (5) | ○ | 正しさの根拠として「送り仮名の付け方」 (昭和 48 年 (1973 年) 内閣告示第 1 号) を挙げていますが、その文書の前書きを読むと、そこで定められているのはあくまでも一基準であって、いかなる状況でも適用するべきという性質のものではないことがきちんと述べられています。要するに送り仮名の正しさなんてそんなものなので、気にしすぎる必要はありません。 |
5 | (2) | ○ | day を「ディ」と書いてあるのも見たことがあります。「スイートルーム」という文字を見た瞬間に sweet ではないことを問う問題だと確信したのに、違ったので驚きました。パブロフ。 |
漢字力 | |||
6 | (2) | ○ | |
7 | (3) | ○ | |
8 | (1) | ○ | |
9 | (2) | ○ | |
10 | (1) | × | 「荒らげる」の読み方。これはよくある問題だよね、と思ったのに間違えました。 |
11 | (3) | × | 「活魚料理」の読み方。気にしたこともありませんでした。 |
文法 | |||
12 | (1) | ○ | 問題文の「文法的に標準的」という言葉に若干の違和感を覚えるのですが。 |
13 | (2) | ○ | 問題文の「文法的に最も標準的」という言葉にかなりの違和感を覚えるのですが。 |
14 | (1) | ○ | これで答えが (2) だったら問題になりませんよね (だったら第 11 問で答えが (3) でも問題にならないと後で思いました)。 |
15 | (1) | ○ | |
敬語 | |||
16 | (1) | ○ | 問題に正しく答えられるからといって、実際に正しく使えるとは限らないのが敬語のポイントだと思います。 |
17 | (3) | ○ | 「尊敬表現」 (敬意表現の中でも動作主を敬う表現) の意味がわからないと問題文が理解できないと思います。出題の仕方を工夫するべきだったのではないでしょうか。 |
18 | (2) | ○ | あれ? 正しいのが 2 個ある。と思ったら間違っているのを選ぶんですか。紛らわしいなあ、もう。 |
19 | (4) | ○ | 「一般に適切とされる」という玉虫色の表現になっているのはなぜでしょう。二重の尊敬語が「正しくない」とまでは言い切れないからだとしたら、第 17 問の (4) も正しくないとは言い切れないことになってしまいます。 |
20 | (1) | ○ | 「美化語」という文法用語の意味を問う問題です。文化庁の文化審議会国語分科会の「敬語の指針 (報告案)」 (2006 年 11 月 8 日) (文化庁ウェブサイトから入手可能) を読んだ人には簡単……ってこの問題の目的は何でしょうか。 |
マナー | |||
21 | (2) | ○ | |
22 | (1) | ○ | |
23 | (2) | ○ | 返信用封筒に自分の名前を書くときに添える言葉。僕は「行」と書くので (2) を選びましたが、同じように「宛」も使われると思っていました。少し調べた範囲では、自分の名前の下に「宛」と書くのは最近発生した習慣のようですね。そのことを理解していないと、解説がさっぱり理解できないと思います (最初、「宛」では礼儀に反する理由が書かれているのだろうと思って解説を読んでいて、意味がまったくわかりませんでした)。 |
24 | (2) | ○ | 「御芳名」の欄に自分の名前を書くときに消すのは「御」か「御芳」か。意味を考えたら確かにそうなのですが、僕はこれまで「御」だけ消していました。以前は「御」を付けず「芳名」と書くのが普通だったというのも知りませんでした。 |
語彙力 | |||
25 | (2) | × | 「采配を振る」か「采配を振るう」か。これもよくあるクイズであることはわかっていて、どっちだっけ、というところで間違えました。以下、負け犬の遠吠え。解説には「采配」は武器ではなく道具の名前だから「振るう」はおかしい、という理屈が書いてありますが、「振る」と「振るう」はほぼ同じ意味なので、そんなのは屁理屈です。挨拶の「こんにちは」を「ほんじつは」と言うのが間違いであることに理屈を付けようとしても仕方がないのと同じで、要するに理屈がどうだろうと間違いは間違いってことです (間違えたくせに偉そうに)。 |
26 | (4) | × | 「ほぞを噛む」の「ほぞ」の意味。聞いてくださいよ。知っていたんですよ、漢字で「臍を噛む」と書くことも。なのにどうして間違えたのか、自分でもわかりません。ところで、解説に「自分で自分のへそをかもうとしても及ばないように、後悔しても間に合わないことから言うのであろう」と書いてあるのですが、そうなんですか。僕は、後悔してうつむいている様を大袈裟に表現したのだと思っていました。 |
27 | (1) | × | 「おくびにも出さない」の「おくび」の意味。ですから、これで正解が (1) だったら問題になりません。まったく知りませんでした。たぶん一生使うことはないでしょうが、忘れなかったら必ず憶えておきます。 |
28 | (2) | ○ | 「心安だてに」の意味。使ったことがなくて、聞いた覚えもない言葉でも、意味がわかることってあるんですね。ただの勘かも。 |
29 | (3) | ○ | 「断腸の思い」の意味。消去法で (3) を選びましたが、「悔しい思い」があったら迷うことなくそちらを選んでいたと思います。「悲しい」と「悔しい」はもちろん似た感情ですが同じではありません。「断腸」が悲しさの表現だというのは知りませんでした。 |
30 | (4) | × | 「忸怩たる」の意味。よくある問題ですね。それで間違えているのだから世話がありません。 |
まず一般論として、僕は日本語の使い方について人に正しさを判定してもらうことにあまり意味があると感じません。言葉の使い方が正しいかどうかは状況に依存するところが大きく、状況から言葉だけを切り取って正しいかどうかを判定するのは無理である場合が多いからです。なので、このようなテストはあくまでも遊びだと考えています (思ったほど高い点数が取れなかったから言っているのではありませんよ!)。
問題文の中で「正しいもの」「標準的なもの」「最も正統的なもの」「一般的に適切とされるもの」のように呼び分けているところに苦心の跡が見えますが、それでもこれらの呼び分けの理由が一部はっきりしません (第 19 問の備考欄に書きました)。また、「正しいもの」と常には呼ばない理由を解説か別ページで多少説明した方が良いのではないかと思います。
敬語の問題の質は、他の部分に比べて疑問を感じます。敬語に関する文法用語の知識を問うのではなく、敬語を正しく使えるかどうかを問う問題であってほしかったです。
以前テレビで見た日本語に関するクイズ番組では、真偽も怪しいことを根拠なく並べ立てていて、こんなことで大丈夫だろうかと不安になりましたが、その点、このテストは正解の根拠が比較的はっきりしているので安心できます。第一回は自分では受けずに問題と解説を読んだだけでしたが、第一回も良かったです。本テストの監修で明鏡国語辞典 (大修館) の編集委員、鳥飼浩二氏の面目躍如というべきでしょう。
解説は少々読みにくいです。 goo のロゴが何度も入っているのはおそらくスポンサーへの配慮なのでしょうが、それはおいたとしても、正解を正解としている理由と、問題に関する周辺知識を明確に分けた方が読みやすくなるでしょう。
国語テストの内容とは関係ないのですが、システムについて。勘で答えた問題については自分でもどれを答えたか覚えていない場合があるので、採点結果のページに自分の解答も表示されるとわかりやすくなると思います。
などと苦言交じりで書いてきましたが、楽しめました。次回も期待しています。
2007 年 1 月 13 日公開。著者: fcp / このサイトについて